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七月隆文 『ぼくは明日、昨日の君とデートする』 宝島社文庫

ジャンル:恋愛、SF
再読したい度:★★★★★

結末で驚きを感じたい、切ない恋愛小説を読みたい方にすすめです。

読了日:2015年11月17日
~あらすじ~
大学生の僕南山高寿は、大学へ向かう電車で福寿愛美に一目ぼれをした。
運命のように、雷に打たれたような衝撃を受けた高寿は、精一杯の勇気を振り絞り声をかけた。
何度目かのデートで告白をすると、愛美は涙を見せながらうなずく。
お互いの話の中で、予言めいた話があったりと高寿が不思議に思っていた時、出会って18日目に愛美から隠し事を打ち明けられる……。
愛美と会えるのはたった30日間。
彼女が会うたびに流した涙の意味を知るたびに、高寿の胸は締め付けられていく。

~感想~
お勧めされて読みました。
彼の真っ直ぐな恋心にほのぼのとさせられ、彼女の無邪気な振る舞いに癒されました。
読み進めていくうちに切ない気持ちが降り積もっていくようでした。
ラストは本当、涙が滲みます。
お互いの気持ちはどこまでも繋がっているのに……という不思議な世界観で描かれていました。
読んでいくうちにタイトルの意味も分かり、それも衝撃でしたね。
再読したらまた違う見方ができそうです。
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村田沙耶香 『コンビニ人間』 文春文庫

ジャンル:働き方、生き方、ヒューマンストーリー、第155回芥川賞受賞
じっくり読む:★★★★☆

普通とは何かという問いを抱えている人、社会の縮図のような物語に触れたい方におすすめです。

読了日:2018年:10月25日
~あらすじ~
私はコンビニの為に生きている。コンビニの為に栄養を摂り、体を休めるのだ。
自分はどうやら周りから見ると理解しがたい人間らしい。けれど、私には何がいけなくてどうすれば治るのか分からない……。
友人や同じコンビニで働く仲間のしゃべり方、表情、ファッションを真似して紛れ込む。
休みの日にもコンビニの音が耳の中で響いている。レジの音、商品をカゴに入れる音、店員の声……私はそれが心地良い。
あの小さなガラスの箱の為に働き、声を聴き、動くのが私の本能なのだ。

~感想~
本作の印象は一貫して「普通とは何か」「普通ではないことの生きにくさ」だと思いました。
ただ、この物語の面白さは、それらをクローズアップしていながら主人公がそこに苦しみを覚えておらず、単純に一般論としてしか受け止めていないところだと思います。
例えば、普通の人は恋愛して結婚して子どもも産むんだよと言われても、「なるほどそういうものか」としか受け止めていない……。
唯一、彼女自身が存在したいと思い・揺らぎ・渇望するのは「コンビニ店員」でいることなのです。
「普通」の人間であれば彼女はとても異質なものに見えてしまいます。
しかし、彼女は本当に異質な存在なのか……私たちも、無意識にしろ普通でいなければと自身の異質な部分から目をそらし、認めていないだけではないだろうか……。
彼女の存在によって主人公の周囲の人や読んでいる側は、その認めていない・認めたくない己の異質な部分を呼び起されてしまいそうなので、より彼女に「普通」になって欲しかったのかもしれないですね。
白羽に関しては、単純に「普通」に馴染めず、他人を攻撃しなるべく社会から切り離されようとしていて憐れに思いました。
「普通でいなければならない」という見えない圧力と、「普通ではないこと」がばれたときの生きにくさと周囲の好奇心は怖いなあ……。
最後の中村文則さんの解説も丁寧で、より本作の魅力を浮き彫りにするものだったので、それを踏まえて再読したいです。

窪美澄 『よるのふくらみ』 新潮文庫

ジャンル:大人の恋愛、性、三角関係
生々しさ:★★★★☆

直接的で熱量のある恋愛小説を読みたい方、現実の恋愛関係に悩んでいる方にもおすすめです。

読了日:2018年10月21日
~あらすじ~
セックスがない。それがみひろの悩みだった。
生活時間が合わない、同棲中の彼圭祐が仕事で疲れている……原因は色々ある。
でも、気が付いてしまった。私の中にある、私にすらどうすることもできない欲望と嫌悪感。
三十路目前での結婚という二文字、子どもはどうするのか、私は必要とされているの?、親や周囲のプレッシャー。
知らず知らず圧されていたのかもしれない。
一度リセットした時、晴れ晴れとした気持ちで私が選んだ道の行く先は……?

~感想~
リアルさや現実味があるという言葉より「生々しい」という感想が出てきた作品です。
みひろの年齢や性別、彼との距離感が何となく自分の状況とも似ているところがあって、心に無数の棘が刺さるようでした。
人は人と繋がり、裏切り、裏切られ、また繋がる。
誰か一人を独占し繋ぎ止めておけたらそれはそれで幸せだし、ふらふらと人から人へと移っていくのも人によっては良いのかもしれないですね。
「誰にも遠慮はいらない、小さな言葉でも口にしないと幸せが逃げてしまう」 何度も出てきたこのフレーズが心に沁みて残りました。
性に関することを口に出し話すことはためらいや気恥ずかしさやいやらしさ、中には嫌悪感を抱く場合もあるけれど、それでもパートナーとは共有したい・共有した方が良いことなのだなと思います。
単に触れあいたいというのもそうですし、子どもが関わってくるなら尚更ではないかなあと。

白河三兎 『プールの底に眠る』 講談社文庫

ジャンル:恋愛
むずむず度:★★★★☆

どこか胸をチクチクするような気恥ずかしい恋愛小説を読みたい方におすすめです。

読了日:2016年12月29日
~あらすじ~
「イルカ」と呼ばれた僕と「セミ」と呼ばれた彼女。
祖父の遺言で裏山にエロ本を不法投棄に行くと、そこにいたのは首にロープを巻き今にも自殺しようとしている「セミ」だった。
彼女の美しさや不思議な雰囲気に僕は惹かれた。
駅の掲示板で伝言を残しあうプラトニックな関係は、まるで本物の蝉の寿命のように一週間で終わる。
そこから数十年。僕は今殺人未遂の容疑で留置所にいる……。
過去の僕と今の僕。それぞれの一週間を時にほの甘さを、時に痛みを抱えながら解きほぐしていく。

~感想~
とても抽象的で婉曲的な印象を抱く内容でした。
想像力を掻き立てられるというよりは、泡のようにふわふわとストーリーが浮かんでくるようなどことなく曖昧さを感じます。
早く先を読みたい!という感じではなく、思い出したようにページをめくり読み進めていた作品です。
自分が閉じ込めてしまったものに長い間囚われていた主人公と、そんな彼を苦しめていたように見えて実は救いの手を差し伸べていた彼女。
結局スポットは主人公と不思議な彼女に当たったまま終わってしまったけれど、私的には幼馴染サイドの話も妄想の中で膨らみそうです。

嶺里俊介 『星宿る虫』 光文社文庫

ジャンル:法医昆虫学、ミステリ、SFホラー、グロ表現
気持ち悪さ:★★★★★

新しいジャンルに挑戦したい人、濃い内容のものを読んでみたい人におすすめです。

読了日:2018年9月21日
~あらすじ~
舞台は長野県。違法な活動をしている宗教法人に踏み込んだ警察は異様な気配を感じた。施設が燃えている。
その焼け跡からは多数の遺体が出てきたものの、その姿は異様だった。
知らせを受けた法医昆虫学者である伯母の御堂玲子は、新種の虫の発見に心を躍らせた。
大学生である甥の天崎悟は恋人のめぐみと仲睦まじくしていた。そこに訪れた一人の老婆。彼女は誰?何を伝えたかったのか。
家出をした妹を心配していた悟は、妹の発見と死の報を聞く。変わり果てたその姿は虫に食われ、血が黄色い異様なものだった。そしてそれは、連日報道されている宗教施設から発見された遺体と同じ状態であった。
虫の正体はなんなのか、感染経路や治療法は?愛する者を救いたい。紐解くカギはどこにあるのか。

~感想~
衝撃が抜け切れません。題名と表紙からは窺えないグロさと狂気と謎に満ちていました。
虫という下等生物に巣食われた時、人は為す術もなく侵食されてしまう……。
ミステリアスでSFっぽさも醸し出している本書はあらゆる「もしも」に対する問題提起も成している気がします。
もしも本当に本書のような生物に侵されてしまったら、安楽死という選択はなぜできないのか。
この生物に対する打開策はほぼなく、あったとしても倫理的な問題が生じてしまうので代替策はないのか。
また、地球外生命体からの侵略という観点も持てるだろうと思います。個人的にこの解釈が好みかなと思いますし、だとするとこの生物の謎が解けそうな気がしてきます。
虫に襲われる恐怖を単純に味わいながら、色々な考えが頭の中に湧いてくる作品でした。
とにかく救いがないです。
プロフィール

つばめ

Author:つばめ
好き:読書、自然、平穏
苦手:考えること

本が好き!読むのも触るのも香りも好き!!本に囲まれて生活することが憧れのつばめが、のんびりまったり読んだ本を記録していきます。

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